ウェグナー

 

 

修行時代にデザイン制作した椅子の修理をした。

この椅子は入社して2年目くらいか、初めて本格的にデザイン制作を任された椅子で、

学生の頃より憧れていた、ウェグナーのカウホーンチェアーやブルホーンチェアーのような

包み込むように 美しい曲面を描くアームを参考に、通常業務を終えた後、毎日のように設計・試作に励んだ。

まず このアームをどうやってジョイントするのか、そしてどうやってこの複雑な曲線を削り出すのか、

図面としては、この曲面はどういった数値をもっているのか。

だいぶ頭を抱えた記憶がある。

 

初めてウェグナーの椅子に出会ったのは、

まだデザインを勉強し始めた頃、教授の自宅のダイニングにあったYチェアー。

古民家の平家で、愛されながら、生活の中にしつらえられた白木の椅子にとても感動した。

 

働き始めてある時、カフェのカウンターにYチェアーが並んでいた。

その後ろ姿を見た時、工芸的にも見えたYチェアーが はっきりと工業製品だと感じたことがあった。

もちろん大事なところで手工芸が残されていることを含めた工業製品ではあるが。

この椅子は、基本的な職人技術、世界の椅子のルーツ、当時の工業生産技術を元に、

デザイン設計術によって魔法がかけられている。木工と椅子のことを知れば知るほどそう思うのだ。

そう考えると、ウェグナーは木製家具デザイナーとして巨大である。

 

あの頃を思い出しながら考えていくと、今ぼくは大分違った景色をみている。